気仙沼での暮らし方 コラム#2-6 海のまちで暮らすということ
2024年12月3日
海のまちで暮らすということ
「せっかくだから、もう少し遠くまで行ってみっか」と、
やっくんは漁港からどんどん離れるように船を進めた。
乗せてもらった船にはお立ち台のようなスペースがあり、ここは何に使うのかと尋ねると、「船に乗せた人が、ここに乗ったら景色良くて楽しいでしょ。だからつけたんだ」と言う。
やっくんは、人を喜ばせるのがうんと好きなのだ。
ブオオオとスピードを上げて進む船。
後ろを振り返ると、さっきまでいた作業場が小さくなっていく。
風を切る。跳ねる波飛沫を見つめる。景色がどんどん変わっていく。海の上は、こんなにも気持ちがいいのか。
大島と気仙沼市内をつなぐ鶴亀大橋が近づいてくる。
初めて下から見上げた橋は、やけに堂々としているように見えた。
橋をくぐる瞬間、遊園地に来た子どものようにはしゃいでしまった。
港に帰ってくる頃には、胸がこれでもかというほどいっぱいになっていた。
私は海の上が好きなのかもしれない。
photo by asami iizuka
ほかにも気仙沼の暮らしに関するコンテンツ発信中!